こんにちは、Isajiです。
政府が、2020年東京五輪に向けてサマータイムの導入を検討中ってニュースを聞いて、「サマータイム?聞いたことあるけど、海外だけの話じゃないの?」って思ったのですが、気になっていろいろと調べてみました。
先ずは、サマータイムの概要が分かる動画を見付けましたので、こちらをご覧ください。
ご覧のように、夏の日照時間の長さを有効活用しようというサマータイムですが、実は日本でも過去に実施していた時期があったんですよ!しかも、その時は失敗しています。
ってことで今回は、過去の失敗例からサマータイムを導入すべきかどうかについてとことん考えてみましたので、最後までじっくりとご覧ください。
では最初に、日本で過去に実施されたサマータイムの失敗例からご覧ください。
この記事でわかること
過去のサマータイム導入の失敗例を見てみよう!
日本でも過去、サマータイムを導入していた時期がありました。それは、
- 1948年〜1951年
です。
戦後の米軍統治の時代に無理矢理やらされていたみたいです。「夏時刻法」なんていう法律まであったそうですよ。
この時は強制ですから、正確には「失敗」とは言えないかも知れません。
その後、1952年に夏時刻法が廃止され、3年間で終了しました。
終了した理由は主に次の3つ。
- 農家の混乱
- 残業時間の増加
- 交通機関の混乱
では順番にサクッと解説です。
農家の混乱
農業は時計ではなく、太陽の動きに合わせる形で仕事をします。したがって、サマータイムだからといって労働時間は変えられなかったってことですね。
農家の活動時間は太陽に合わせているものの、世間はサマータイム。
農家の人が仕事を終えて、買い物に出かけたり役場に行ったりしても、その時間にはもう閉まっている、ってことになり大変混乱しますよね。
次の理由は「やっぱり」って感じ。
残業時間の増加
当時は2時間早めたそうですが、結局は残業が2時間増えただけってサラリーマンが多く、しかもサービス残業。労働条件の悪化を招くってことで大変不評でした。
これは時代が変わっても恐らく結果は同じでしょうね。明るい時間帯の自由時間を増やしても結局は働いてしまうサラリーマンが多いでしょうね。
仕事が溜まってる→まだ明るいけどやることはない→仕事を片付けるかぁ
ってなりそうな気がします。
交通機関の混乱
これは当時の労働環境特有の問題みたいです。
当時は公務員の出勤時間は民間よりも1時間遅かったそうです。それがサマータイム実施により民間と公務員が一緒の出勤時間になり、通勤ラッシュがとんでもないことになったっていうんです。
ですが、サマータイム実施でなぜ出勤時間が一緒になるのかは、色々調べましたがはっきりと分かりませんでした。^^;
もしかしたらですが、
- サラリーマンの出勤時間は1時間だけ早める(8:30→7:30)
- 公務員の出勤時間は2時間早める(9:30→7:30)
という調整だったのかも知れませんね。
公務員は法律通り動かねばならない。一方サラリーマンは会社の規定で決められるから、2時間も早い出勤は大変だから1時間だけ早めよう、ってなったのかも。
こうして過去には失敗例もあるサマータイムですが、その効果について知っておかないと今後のことを考えられませんよね。
ということで、次にサマータイムの効果について見てみましょう。
サマータイムの効果について確認してみよう
サマータイムの効果を、メリットとデメリットに分けて触れていきたいと思います。
サマータイムのメリットって?
サマータイムの導入によるメリットは主に次の3つが言われています。
- 省エネ効果
- 経済効果
- 余暇時間の充実
では一つ一つ確認していきますね。
省エネ効果
サマータイムは第二次世界大戦中に、アメリカで本格導入されたのがはじまりですが、その主な目的はエネルギー資源の節約でした。
どういうことかと言いますと、たとえば日没が19:00で就寝が24:00だとすると、5時間照明を使いますよね。
ところがサマータイム(1時間)になると、日没が20:00ってことになります。そして就寝時間は24:00。
つまり照明を使う時間は4時間となり、1時間分のエネルギーを節約できる、ってことなんです。
しかし、LED照明が発達して照明によるエネルギー消費量が低下する一方、冷房器具の普及によるエネルギー資源消費量の増加により、本来の目的は失われています。
省エネどころか、夏の厚さ対策や熱中症対策で冷房が推奨されていますから、エネルギー消費はむしろ増えていますよね。
しかも、サマータイムにしようが暑さは変わりません。
つまり、現在ではサマータイムによる省エネ効果はほとんど期待できないと言えます。
では、次のメリットはどうでしょう。
経済効果
第一生命経済研究所の永濱利廣氏の試算によると、
- サマータイム(2時間繰り上げ)による経済効果は 7,532億円
だそうです!
サマータイムの導入によって就業時間終了後明るい時間が2時間増えることになるので、娯楽・レジャー・外食などの機会が増え、それが消費喚起につながるとされている。第一生命経済研究所首席エコノミスト永濱利廣氏「不確実性の高いサマータイム効果」(2018年8月8日)によれば、日照時間の増加が名目家計消費にプラスに影響することで約7,532億円の経済効果があるとのことである。
先ほどの「残業時間の増加」という問題を抜きにして考えるとすれば、退社時間が2時間早くなり、その分余暇時間が増えて消費が活性化することでそれだけの経済効果が見込めるのだそうです。
しかし、仮に今よりも2時間早く会社を出ると想像してみてください。当然太陽はもっと高い位置にあって、今よりも暑い時間に退社することになります。
余暇時間を有効活用しようって何かをはじめる人もいるかも知れません。
しかし、私ならさっさと帰宅して冷房の効いた部屋でゆっくりと過ごそうってなるか、逆に仕事が溜まってるからもっと涼しくなるまで残業してこう、ってなる気がしますね。
一方、サマータイム導入のためのコストってかなりかかるみたいですよ。
調べた結果詳しい数字は出ていませんでしたが、サマータイム導入による全国のさまざまなコンピューターの、システム改修に係るコストはかなりの額になるそうです。
専門家の大方の見方は、経済効果が国民総生産の0.2%なのに対し、損失は3%となり、損失の方がはるかに大きいみたいです。
経済効果が期待されると言われてもちょっと疑問が残りますね。
では次の効果について見てみましょう。
余暇時間の充実
サマータイムが導入されると、「今よりも早く仕事が終われるからラッキー!」ってなるのでしょうか?
退社後の明るい時間は確かに増えます。その分消費活動が増えるという効果が期待されるとされていますが、実際はどうでしょう。
先ほどの「経済効果」の章でも触れましたが、退社時間は今よりも更に暑い時間帯です。
余暇時間に何かをしようってなるのかちょっと疑問なんですよねぇ・・・。
小さい子供がいる家庭は子供と遊ぶ時間が増えて、子供は喜ぶかも知れませんね。
一方、サマータイムによるデメリットもあるみたいですよ。
サマータイムはデメリットもある?
サマータイム導入による最大のデメリットは、
- 健康被害
です。具体的には「睡眠障害による体調不良」。
サマータイム開始初日はそれまでよりも1時間早く起きることになります。その分、前の日に早く寝られるかというと、なかなか早く寝られないのではないでしょうか?
つまり、睡眠不足になることが懸念されます。
また、人間には体内時計が備わっていますが、これが社会的時間と同調するのに3週間以上を要するというデータ(レンネベルグ博土によるドイツでの調査)もあります。
さらに別のデータをご紹介しましょう。
04~06年に札幌商工会議所が主導して行った模擬サマータイム(フレックスタイム)に参加した人へのアンケート調査では、従業員の20%~40%が睡眠不足、体調の悪化を訴えたことから、サマータイム導入による健康被害で、年に1350億円の経済損失が発生すると試算した。
引用元:JCASTニュース
以上の資料を総合すると、どうやら体を壊す可能性が意外とあるみたいですね。
時計の時刻は人為的に進められても、太陽の動きは変わりませんよね。
しかも、体内時計は日光を浴びることでリセットされますので、ある一定の期間だけ時計の針を1時間進めましょう、と言われても体がついていけるか自信がないですねぇ・・・。
ところで2020年の東京五輪で、試験的にサマータイムを導入することを政府・与党が検討しているようですが、その狙いについてもここで確認しておきたいと思います。
東京五輪にサマータイムを導入することの狙いは?
今回サマータイム(2時間繰り上げ)を検討している狙いは、
- マラソンや競歩のレース中の酷暑対策
です。つまり、長時間屋外で行われる競技への対策。
現状では午前7時スタート予定のマラソンですが、サマータイムの導入で午前5時のスタートとなり、レースはおよそ2時間として暑くなる前にレースを追われるってわけです。
マラソンがだいたい2時間~2時間半ってことが「2時間繰り上げサマータイム」の根拠なのでしょう。
先ほど見てきた「省エネ効果・経済効果・余暇時間の充実」といったサマータイムのメリットとは全く関係ない狙いがあるようです。
以上、サマータイム導入の失敗例とサマータイムの効果、東京五輪でサマータイムを導入する狙いについてみてきました。
ここで、これらを踏まえて今後の日本でのサマータイム導入について考えてみたいと思います。
過去のサマータイム導入の失敗例から今後の導入について考えてみよう!
政府が、2020年の東京五輪でサマータイムを期間限定で導入することを検討しています。
しかし、結論から言うと私は失敗すると思っています。その理由は主に次の3つです。
- 健康被害
- 残業時間の増加
- EUで廃止論
それでは順番に確認していきましょう。
健康被害
先ほども書きましたが、サマータイムによる健康被害は深刻だと思います。
体内時計が狂うことで睡眠障害を発症する人が増えることが懸念されますし、専門家によると、睡眠障害から心筋梗塞や脳卒中、うつ病の発症リスクも高まると予想されています。
時計がまだ一般的ではなかった江戸時代あたりまでは、おそらく日の出と日の入りに合わせて動いていたでしょう。
体内時計もそうなっています。
時計が普及しても、普通は太陽の動きに合わせて活動していて、時間はその目安にしか過ぎません。
ですから時間を人為的に動かしても、体は悲鳴をあげると思いますね。健康被害による医療費負担の増大なども考えると導入には素直に賛成できないですね。
残業時間の増加
これは日本人気質かもしれませんが、私もやはり、明るい時間に退社できるとなっても、残った仕事をやってしまって、結局は残業時間が増えるだけのような気がします。
余暇時間が増えて消費が増大し、経済効果が期待できるというのはあまり期待しない方が良いと思うのですが。
EUで廃止論
これについては、先ずは下記をご覧ください。
サマータイム、EUで廃止論 是非判断へ世論調査
欧州連合(EU)でサマータイムの廃止の是非をめぐる検討が始まった。執行機関である欧州委員会はEU全域を対象にした世論調査をふまえ、具体的な対応を判断する。日本では2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて導入論議も浮上してきたが、1970年代から夏時間が定着している欧州では、健康面への悪影響から廃止を求める声が広がる。
引用元:日本経済新聞 2018.8.14
サマータイム導入から約100年の歴史があるヨーロッパ諸国で、廃止に向けた議論が始まっているんです。
理由はやはり健康被害のようです。
先駆者が、デメリットの方が大きいと判断しようとしているのですから、日本で導入するのは慎重に検討してもらいたいですね。
しかも、2020年の東京五輪限定って!
「東京五輪にサマータイムを導入する狙い」のところでも確認しましたが、マラソンや競歩の酷暑開催を避けるのが最大の狙いなんですよね。
それならサマータイムではなく、スタート時間をずらすだけで良いのではないでしょうか。
ところで、そもそもサマータイムがどんなものか正確に把握されていますか?
確実にどんなものなのかを言い切れるかどうか。それもまた今後の導入についてあれこれ考えるには非常に大切なポイントだとも言えます。
と言うことで、最後に簡単に、サマータイムがどんなものか。そこをお伝えして記事を締めさせていただきますね。
そもそもサマータイムってどんなもの?
先ず環境省・経済産業省の資料を見てみましょう。
サマータイムは夏時間制度とも呼ばれ、昼間の明るい時間が長い期間(例えば4月~10月)、全国の時刻を標準時より1時間進める制度。
この制度を導入することにより、起床・就寝時間、労働時間もこれまでどおりでありながら、明るい夕方の時間が1時間増えるためその時間を有効に活用できる。
夏は日照時間が長いから、その時間を有効に活用しよう、ってことですね。
ちょっと具体的に私の勤務時間を例に、導入されたらどうなるのかを考えてみました。
現在、私の勤務時間は8:30~17:30です。これを意図的に1時間進めるってことは、実際の勤務時間は7:30~16:30ってことですね。
つまり、現在の16:30から先が自由時間になるってことかぁ、確かに退社後の明るい時間は長くなりますね。
けど、暑いからやはりなにかしようってことにはならないかなぁ・・・。
では最後に、今回の記事をまとめてみましょう。
まとめ
サマータイムって海外だけの話だと思っていましたが、日本でも戦後に実施していたことがあったんですね。
でも、まじめな日本人は昼間の余暇時間が増えても、結局は働いてしまう人が多くなる気がします。
- 日本でも、1948年〜1951年に実施されていたが失敗に終わった。
- 省エネ効果、経済効果、余暇時間の充実などのメリットが期待されている。
- 睡眠障害などの健康被害が懸念される。
- サマータイムとは夏の日照時間が長い期間だけ、時計を1~2時間早める制度。
- 東京五輪限定での実施が検討されているが、過去の失敗例やEUの動きから考えると慎重になるべき。
人間はやはり”おてんとうさま”とともに動くのが一番健康的でいられると思いますね。
今回は以上となります。最後までご覧いただき、ありがとうございました。