こんにちはIsajiです。
相撲が大好きで仕事が休みの土日は、テレビ観戦を必ずするのですが、先日、行司の掛け声がふと気になったんですよ。
よくよく注目していると同じタイミングでだいたい同じ掛け声を発しているんですよね。しかも独特のふし回しに歴史を感じるんですよ。
そこで今回は行司の掛け声について調べてみました。取り組みの流れに沿って掛け声を順番に見ていきたいと思います。
さらに、合わせて「出世触れ」という、テレビ中継では見られない儀式の、独特の掛け声についても動画を交えてお伝えしますので、最後までぜひご覧ください。
では、最初に力士を土俵に呼び上げる時の掛け声から見ていきます。
この記事でわかること
四股名呼び上げの掛け声
先ずは力士の四股名を呼び上げる時の掛け声を見ていきましょう。
これには力士の番付により、二種類あります。
平幕以下の力士の呼び上げ
平幕以下の力士同士の取り組みの場合、力士の四股名は1回だけ呼び上げます。これを「一声(いっせい)」と言います。
実際の呼び上げの掛け声の動画を見付けましたので、ぜひご覧ください。
平幕以下の取り組みってことで、お客さんも少なくて静かなので、行司の掛け声がはっきりと聞こえますね^^
確かに1回しか呼び上げてませんよね。しかも、よく聞くと「〇〇に△△」と四股名と四股名の間に「に」を入れて呼び上げているのが分かります。これが決まりです。
盛り上がりがなくて何だか稽古みたいですね。ここから「館内を沸かせる力士になってやる!」って強い気持ちで頑張れる力士が上位へ上がって行くんですね。
続いては三役以上の力士の呼び上げについて見てみます。
三役以上の力士の呼び上げ
三役(大関・関脇・小結)の四股名の呼び上げは2回行われ、これを「二声(にせい)」と言います。
そして、四股名の前に「かたや」と「こなた」がつきます。例えば白鵬対栃ノ心であれば、「かたや、白鵬、白鵬。こなた栃ノ心、栃ノ心」といった具合ですね。
ちなみに「かたや」は「片や」と書きます。意味は「片方の力士は」という意味です。一方、「こなた」は「此方」と書きます。つまり「こちらの力士は」という意味ですね。
あと例外ですが、十両最後の取り組みも二声で呼び上げます。呼び上げ後「この相撲一番にて、中入り~」の掛け声が入ります。
実際の行司の呼び上げを聞くと、独特のふし回しを使っていて、すっごく雰囲気がありますよね。次にテレビを観る時は行司の呼び上げにも注目してみると楽しいですよ。
ココで豆知識を一つご紹介します。
奇数日には東方から、偶数日には西方から呼び上げる。
東西の順番は固定されていると思っていたら、ちゃんと順番になるようにしているんですね!
次に、結びの一番だけの掛け声を見てみましょう。
結びの一番の呼び上げ
結びには最後に「結びの触れ」という掛け声が入ります。具体的には次の通りです。
「番数(ばんかず)も取り、進みましたるところ、かたや白鵬、白鵬、こなた栃ノ心、栃ノ心」と「二声」を発した後、「この相撲一番にて、本日の打ち止め~」となります。
「番数」は「ばんすう」ではなく「ばんかず」と読みます。また、「番数も取り」で一呼吸置くところがこの掛け声の、私の一番のお気に入りです♪
なかでも私が特に印象に残っているのは、平成27年九州場所の「白鵬対妙義龍」の一番での式守勘太夫による結びの触れですね。
当時、40代式守伊之助が、2場所連続3度の軍配差し違えをしてしまって、3日間の出場停止処分となりました。そのために代役で勘太夫が結びの触れをおこなったのですが、観ていてしびれましたね~。
代役が決まった前日は、「平成の名行司」で有名な28代木村庄之助の結びの触れを観て、何度も何度も練習をしたんですって。
さらに千秋楽の場合、「この相撲一番にて千秋楽にござります~」となります。
このふし回しも独特で大好きなんですよねぇ~。しかも、行司によって微妙に違うので毎回、結びの一番は特に取り組みの前の行司の掛け声も、楽しみの一つなんですよ♪
ココでも豆知識を一つ。
千秋楽とは
雅楽の最後に「千秋楽」という曲が演奏されたことが由来。
これは、かならずしも「千秋楽」が最後に演奏されるとは限らない、という異論もあるので参考情報ってことで。
さて次は時間制限前の掛け声をご紹介します。
時間制限前の掛け声
取り組み前の掛け声は主に次の3つがよく聞かれると思います。
「構えて!」「手を突いて!」「見合わせて!」
これらのどれを発するかは行司の自由なのですが、1つだけルールがあります。それは、同じ掛け声を2回使ってはいけないってこと。
十両以上の取り組みでは、制限時間までに2~3回の仕切りが行われますが、1回目の仕切りで「構えて」と発したら2回目の仕切りでは「見合わせて」というように、別の掛け声を発します。
細かいことですが相撲を観戦する時は、同じ掛け声を発していないかにも注目すると面白いですよ。
掛け声が短い上に独特ですので、よく聞き取れないこともありますが、「構えて!」はどの行司もはっきりと聞き取れますね。
制限時間前に立ち合っても良いのですが、ほとんどありませんよね。やはり息が合わないみたいですね。
しかし、今回調べてみると、平成25年の大相撲春場所7日目の結び前の一番、時天空対白鵬戦で制限時間前の立ち合いがありました。
この時、時天空は制限時間前に立つ作戦だったようですが、白鵬は仕切りの時の時天空の目を見て、それを察知したそうですよ。さすがは大横綱!
次は制限時間がいっぱいになった時の掛け声をご紹介します。
時間制限後の掛け声
制限時間がいっぱいになると「時間です!」の掛け声を発します。
ここで行司は、それまで右横に向けていた軍配を正面に向けて構えます。これを「軍配を返す」といいます。
NHKの放送を見ているとアナウンサーが「さぁ、軍配がかえりました!」って言うのを耳にすることがありますが、あれは時間いっぱいですってことなんですね。
今度相撲を見る時は、行司が軍配を正面に向けて構えていたら「時間がいっぱいなんだな」って分かりますね。
続いていよいよ立ち合いです。
立ち合いの掛け声
立ち合いでは「待ったなし」「手を突いて」「腰を下ろして」が主に聞かれる掛け声ですね。
これらの掛け声で行司は力士に、仕切り線に手を突くように促すわけです。
そしていよいよ取り組み中の掛け声です。
取り組み中の掛け声
これは、相撲といえば定番だと思います!
「はっけよい のこったのこった」ですね。
ここでは特に「はっけよい」に注目してみます。「のこった」は「まだ土俵にのこっているぞ!お互い最後まで頑張れ!」って意味です。つまり、行司が双方の力士に、まだ勝負がついていないことを知らせているわけですね。
しかし、「はっけよい」は何が言いたいのか分かりません。そこでこの意味を調べてみました。
「はっけよい」の意味
「はっけよい」には主に次の3つの説があります。個人的には【1】の説が一番納得出来ますね。順番にご紹介します。
【1】『早く競え!』
「はっけよい」を分解すると「はっ」「けよい」となります。それぞれの意味は以下の通りです。
- 「はっ」=「はや(早)」
- 「けよい」=「きほへ(競へ)」
さらに2を詳しく説明します。「きほふ(競ふ)」の命令形「きほへ(競へ)」からきているとする説。
つまり、「早 競へ!(はやきほへ)」→「はっきょい」→「はっけよい」と変化していった言葉だということです。
一見すると無理があるように思えますが、私は、行司がこの掛け声を発する場面を考えると納得できました。
つまり、これから立ち合いって時ですから「早く競い合いなさい!」と命令する言葉を掛けるのが自然ではないかと思うんですよ。
では、これ以外の2つの説も見ておきましょう。
【2】『八卦良い』
古代中国から伝わる「易占い」の「八卦」のことで、「良い八卦になったぞ」の意味とする説。
これはなんだか違和感が残りますね・・・。行司と易占いが結びつかないんですよねぇ。
【3】『発気揚々』
これは、実は私が以前に聞いたことがあった説なんですよ。
日本相撲協会はこの説をとっているようです。「気を発して、気分を揚げて闘え!」ってことなのですが、これはむしろ立ち合い前の支度部屋辺りで掛けるべき言葉じゃないかと思います。
次はおまけ情報です。新弟子さんの出世をお披露目する儀式をご紹介しましょう。
新序出世披露言上(出世触れ)
新弟子検査に合格した力士が2勝すると「出世」となり、「出世披露」が行なわれます。
先ずはその様子を動画で観てみましょう。
言っている言葉は次の通りです。
これに控えおります力士儀にござります。ただ今までは番附外に取らせおきましたるところ、当場所、日々成績優秀につき、本日より、番附面に差し加えおきまするあいだ、以後、相変わらずごひいき、お引き立てのほど、ひとえに願い、上げ奉ります。
これを覚えるのも大変そうですね。
出世触れは、3月場所以外は中日(8日目)に、3月場所は5・9・12日目に行われています。
動画でも分かりますが、出世触れでは幕下以下の行司が、軍配ではなく白い扇子を持って行います。ここでも勝負の世界の厳しい上下関係を表しているんですね。
では最後に今回の内容をまとめてみましょう。
まとめ
行司の掛け声って相撲を観る上で、力士の陰に隠れた存在ですが、注目してみると意外と楽しいですよ。
- 四股名の呼び上げは平幕以下は「一声」
三役以上は「二声」。 - 制限時間前の掛け声は「構えて!」「手を突いて!」「見合わせて!」など。
- 時間制限後の掛け声は「時間です」。
この時、軍配を正面に構える。これを『軍配を返す』という。 - 立ち合いの掛け声は「はっけよい、のこった!」。
「はっけよい」の意味は『早く競え!』など3つの説がある。
行司の掛け声に注目して観ていると、日本の伝統文化の歴史の重みを感じることが出来ます。
この他にもまだまだ行司の掛け声はありますが、今回は以上とさせてもらいます。細かい所作にも注目していくと、まだまだ相撲を別の角度から楽しめそうですね。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
今日、NHKの取り組み結果ニュースを見たら、力士が土俵の外に出たところで、「のこった、のこった、、、(力士が土俵の外に出たところで)そうなった!」と言ってましたが、空耳でしょうか?
コメントありがとうございます。
「そうなった」ですか?
聞いたことない掛け声ですね。
調べてみたのですが、どこにも出てなかったです・・・。
どなたかご存じの方がみえたら教えてください。(^-^;
ぱらふーぱらふー
としか聞こえない行司さんがいる