こんにちは!Isajiです。
日本一高い山 富士山。2013年には世界文化遺産に登録されましたね。富士山がある県はさぞや鼻が高いことでしょうね!
そんな中、とある雑学の本で、「富士山の頂上は私有地」ってことを知って、「そんなバカな・・・」って思ったんですよ。
そこでこの情報について納得できるまでしっかりと調べようと思い、いろいろと調べてみました。
ってことで今回は、富士山頂上の住所は何県なのかについて分かりやすくまとめてみました。
さらに合わせて、その他の県境未定地に関する情報についてもご紹介していますので、最後までじっくりとご覧ください。
では、先ずは富士山の頂上の所有者に関する話からご覧いただきます。
この記事でわかること
富士山頂上には住所がない?
富士山頂上の八合九勺(3,360m)から上には住所がありません。それは次のことが理由です。
富士山の頂上は浅間大社の所有だが、静岡県と山梨県の境界線が引かれていないために不動産登記ができず、その結果住所が存在しない。
これにはビックリしました。日本の国土で住所が存在しない場所があること自体知らなかったので。
では住所が存在しない理由を一つ一つ、詳しく見ていきましょう。先ずは頂上の所有について。
富士山頂上の所有者は浅間大社
富士山の頂上は先程も書きましたが、
- 富士山本宮浅間大社
が所有しているんです!これは1974年の最高裁判決で確定しています。
いやぁ、驚きましたね。国民の財産と思っていた富士山の頂上が、実は一つの神社が所有していただなんて!
「所有者がいるのであれば普通なら不動産登記がされているはず。」
そう思って富士山頂上の不動産登記について調べてみました。次をご覧ください。
富士山頂上の不動産登記はどうなっているの?
所有者がはっきりしている以上、不動産登記もされているはずなのですが実は、
- 富士山頂上は不動産登記されていない
ってことがわかりました。
ちなみに、不動産登記とは次のことを言います。
<不動産登記>
不動産登記は,わたしたちの大切な財産である土地や建物の所在・面積のほか,所有者の住所・氏名などを公の帳簿(登記簿)に記載し,これを一般公開することにより,権利関係などの状況が誰にでもわかるようにし,取引の安全と円滑をはかる役割をはたしています。引用元;法務省
つまり、不動産登記しないと第三者に権利を主張したり、安全な取引をしたりすることができないんですよね。
では、なぜ不動産登記されていないのか?次にココが疑問になりますよね。ってことで、このことについて次に触れていきたいと思います。
富士山頂上はなぜ不動産登記されていないのか
先ず、富士山の頂上が地図上ではどうなっているのかをご覧ください。
国土地理院の地理院地図で確認すると、富士山頂上の剣ヶ峰の部分には、明確な境界線が引かれていないのです。
こちらが地理院地図になります。↓
「剣ヶ峯」の部分には境界線が引かれてませんよね!
国土地理院のホームページでも次のように回答しています。
Q2.7:富士山頂の行政界は決まっていますか?また,山頂はどこに属しているのですか?
A2.7富士山頂は富士宮市,鳴沢村,小山町,富士吉田市,御殿場市,富士市等に関わりますが,富士宮市と鳴沢村及び小山町と富士吉田市の行政界は未確定ですので,山頂がどこに属するのかは確定していません
この日本の国土において境界線が引かれていない所があるなんて、これも今回初めて知りましたよ!メチャメチャびっくりしました。
つまりですね、境界線が引かれていないってことは、富士山頂上の浅間大社が何県に属しているのかが決まっていない、ってことなんですよ。
だから、浅間大社側も不動産登記できないんですね。つまり、「不動産登記されていない」のではなくて、「不動産登記できない」ってことですね。
ここまでわかれば、次はそもそもなぜ境界線が引かれていないのか、ココがわかれば富士山の頂上に住所ばない謎のすべてが解明できると思います。
次はこのことについてご覧ください。
富士山頂上にはなぜ県境の境界線が引かれていないのか?
境界線が引かれていない理由は、
境界線論争は400年以上も続いているんだし、境界線を決めたところで税収が増えるわけじゃないんだから、棚上げにしましょう。
ってことなんですね。
では、それぞれの理由について詳しく見ていきましょう。
境界線論争の歴史
富士山頂上をめぐる境界線論争の主なものをみてみましょう。
- 江戸時代に書かれた「甲斐国志」には富士山頂上に境界がないことが書かれている。
- 1897年、宮内省御料局が境界の調査を実施し境界線を決めようとするが、静岡県と山梨県から異議が出され、決定できず。
- 1951年には、当時の静岡県知事と山梨県知事が境界をめぐり争わないことを決める。
- 2013年に富士山が世界文化遺産登録されると、2014年に静岡県知事と山梨県知事は、県境を定めず富士山の保全に協力していくことで一致。
こうして、現在も境界線の問題は棚上げされたままなのです。
境界線未定地でも税収上のデメリットがない
境界線が決められていなくても、静岡県と山梨県には税収上のデメリットがないってことも、境界線問題が棚上げされている大きな理由だろうと思います。
どういうことか、簡単に説明しますね。
- 富士山の頂上は浅間大社が所有
- 浅間大社は宗教団体
- 宗教団体は固定資産税(=地方税)が非課税
- 住所を特定しなくても税収には支障ない
↓
↓
↓
つまり、「どっちの県に属するのかを決めたところで、地方税である「固定資産税」が増えるわけではないから、無理に決めなくても良いんじゃない?」ってことですね。
自治体としてはやはり税収が絡むか絡まないかってとこが、大きな論点ですから『宗教団体は固定資産税が非課税』ってことを知った時には「なるほどねぇ~」って、妙に納得してしまいました。
以上、ここまでが富士山の頂上に住所がない理由についての説明になります。
ところで、富士山頂上以外にも、都道府県境における境界線未定地があるのを知っていますか?次はその他の都道府県境境界線未定地に関する情報を簡単に御紹介します。
その他の都道府県境未定地は?
国土地理院の「平成29年全国都道府県市区町村別面積調」によると、都道府県境が確定していないところが全国に14箇所もあるんですって!
ここでは、その中の一つをご紹介します。
東京都江戸川区と千葉県市川市の境界線論争
東京都の葛西臨海公園と千葉県のTDLとの間にある旧江戸川の河口から先の海上に境界線がないのです。
ってか、海上だからどうでもいいじゃん、って思うのですがそうもいかないみたいですよ。
過去に東京ガスのパイプライン敷設や羽田空港拡張などをめぐって境界線が問題になっているんです。問題になる理由は固定資産税などの税収ですね。
境界ってやっかいな問題ですねぇ・・・。
では、最後に今回の内容をふりかえりましょう。
まとめ
日本の象徴であり、世界文化遺産でもある富士山の頂上に住所がないことには驚きましたね。
さらに、全国には富士山頂上を入れて14ヶ所もの県境未定地があることにもビックリしました。
豊臣秀吉の時代の検知によりかなり境界が確定したものの、それでも曖昧なままだった部分が多く、明治政府も旧国境を県境にしたために、そのまま今にいたっているのだそうです。
- 富士山頂上の所有者は浅間大社。
- 富士山頂上は県境の境界線が引かれていない。そのため浅間大社が不動産登記できず、住所が確定していない。
- 浅間大社は宗教団体なので固定資産税は非課税。そのため、境界線が確定しなくても静岡、山梨両県にデメリットはなく、境界線問題は棚上げされている。
- 富士山頂上を含め、境界線が引かれていない都道府県境は14ヶ所もある!
地図マニアの中には、境界未定地を地図で探したり、実際に行ったりすることを楽しんでいる方がみえるそうですが、なんとなく分かる気がします。
「何で境界が定まらないんだろう?」とかって考えたり、実際に行って納得したりって感じなのかなぁ、って思いますね。
今回は以上となります。最後までご覧いただき、ありがとうございました。