「甲子園の高校野球って春と夏があるけど、どう違うの?何で2回あるの?」
こんにちは、Isajiです^^/高校野球を毎年楽しみにしています。
ところで、高校野球の甲子園大会って春と夏がありますよねぇ。その違い、分かりますか?春は「選抜」で夏は「選手権大会」ですよね。
今まで、何となく不思議に思っていましたが、今回その疑問を解決しようと思って色々と調べてみたんです。その結果色々と面白いことが分かりました。
今回は、正式名称の違いや主催者の違い、出場校決定方法や抽選会の違い、更には連覇達成校についても調べてみました。
全ては高校野球甲子園大会のはじまりを紐解くと見えてきますよ!
では早速、春の大会と夏の大会の違いを詳しく見ていきましょう。
この記事でわかること
甲子園の春と夏の違いは?
高校野球甲子園大会の春と夏の大会の主な違いは、以下の5点となります。
- 大会の名称とその性格の違い
- 歴史の違い
- 主催者の違い
- 出場校決定方法の違い
- 組み合わせ抽選の違い
先ずは主な項目の違いを一覧表にしてみました。
正式名称 | 最初の開催球場 | 主催者 | 開始年 | |
---|---|---|---|---|
夏の甲子園 | 全国高等学校野球選手権大会 | 豊中グラウンド(大阪) | 朝日新聞社 日本高等学校野球連盟 | 1915年(大正4年) |
春の甲子園 | 選抜高等学校野球大会 | 山本球場(愛知県) | 毎日新聞社 日本高等学校野球連盟 | 1924年(大正13年) |
では、順番に見て行きましょう。
【1】大会の名称とその性格の違い
- 春・・・選抜高等学校野球大会
- 夏・・・全国高等学校野球選手権大会
選抜とは「多数校の中から、基準や目的に合わせて選ばれた」という意味です。一方、選手権大会とは「最優秀チームを決める大会」という意味になります。
つまり、春は、開催の目的が「夏とは違う選考基準による大会」ということで、何らかの基準により第三者が選ぶ、という大会にしたんですね。なるほど、よく考えましたましたよねぇ。^^/
一方夏の方は単に最強チームを決める大会ってことになります。これは分かり易いですよね。
では、次に両者がいつから始まったのか、ココを見て行きましょう。
【2】歴史の違い
最初に始まったのは夏の甲子園大会の方です。開催球場は甲子園ではなく、豊中グラウンドでした。
大正4年に、「全国中等学校優勝野球大会」の名称でスタートしました。
そして、甲子園球場は大正13年8月完成。同月、第10回大会から甲子園球場で開催されることになります。
一方、春の方は、大正13年に、愛知県の山本球場で「全国選抜中等学校野球大会」の名称で始まりました。
<主催者側の、以下の意向による>
- 中京圏の野球ファンの要望に応えるという目的
- 夏の「全国中等学校優勝野球大会」で、関西地方の学校の優勝確率が高いことが、地理的要件によるものかを確認するという意味合い
こちらは大正14年3月の第2回大会から甲子園球場で開催されているんですね。つまり、第1回大会のみが、甲子園球場以外の球場で開催されていたわけです。
1回だけ山本球場で開催されたのは、大正14年の第2回開催時には甲子園球場が完成していたことと、山本球場があまりにも狭かった事が理由の様です。
次に、主催者の違いを確認しておきましょう。
【3】主催者の違い
先の表の様に、夏は朝日新聞社で、春は毎日新聞社がそれぞれ主催しています。主催者は違いますが、どちらも新聞社ですね。ではなぜ新聞社が主催しているのでしょう?
高校野球スタート当時は、娯楽と言えば相撲しかありませんでした。そこで相撲以外の娯楽スポーツを開拓し、新聞の売り上げアップを狙ったんですね。
そして、「全国中等学校優勝野球大会」とは違った選出基準での、高校野球大会の開催が熱望され、毎日新聞社が朝日新聞社に対抗するために、主催に手を挙げた、ということでした。
この様に、正式名称の意味や歴史的背景が違う両者ですが、出場校の決定方法も両者で違います。今度はこの辺りについて紐解いてみましょう。
【4】出場校決定方法の違い
春の甲子園 | 出場校選考委員会が決める |
---|---|
夏の甲子園 | 各都道府県予選を勝ち抜いた高校が出場 |
春は他力本願
春は他人様が決める、言ってみれば他力本願な決め方ですよね。
誰が決めるのかというと、「選抜高校野球大会出場校選考委員会」です。
ここが以下の基準に基づいて選考することになっています。
春のセンバツの選考基準は?
日本高等学校野球連盟の大会要項には、以下の様に記載があります。
出場校選考基準
(1)大会開催年度高校野球大会参加者資格規定に適合したもの。
(2)日本学生野球憲章の精神に違反しないもの。
(3)校風、品位、技能とも高校野球にふさわしいもので、各都道府県高校野球連盟から推薦された候補校の中から地域的な面も加味して選出する。
(4) 技能についてはその年度全国高等学校野球選手権大会終了後より11月30日までの試合成績ならびに実力などを勘案するが、勝敗のみにこだわらずその試合内容などを参考とする。
(5) 本大会はあくまで予選をもたないことを特色する。従って秋の地区大会は一つの参考資料であって本大会の予選ではない。
「校風」「品位」「技能」が高校野球にふさわしい学校の中から、地域的な面を考慮して選びますよ、ってことですよね。とっても曖昧じゃないですか!何だかもめそうな基準ですが、問題はないのでしょうか?
こうした選考基準を基に、次の3つの出場枠ごとに出場校を決めていきます。
一般選考枠
夏の甲子園が終わって3年生が抜け、新チームで臨む最初の大会となる、秋の地区大会(全国10地区)の成績が選考資料になります。
一般選考枠による出場校は28校で、各地区ごとの出場枠は次の様に決められています。
- 北海道地区:1校
- 東北地区:2校
- 関東地区:6校
- 東海地区:2校
- 北信越地区:2校
- 近畿地区:6校
- 中国・四国地区:5校
- 九州地区:4校
明治神宮大会枠
11月に開催される明治神宮大会の優勝校が所属する地区に対して、1校枠がプラスされます。
明治神宮大会で優勝したチームが自動的に春のセンバツに出場出来るのかと思ったらそうじゃないんですねぇ。
そう思うと、優勝しても選抜に選ばれなかったら、他のチームのために優勝したみたいな気持ちになってしまいそうですよね。
21世紀枠
春の選抜だけ「21世紀枠」という出場枠が設けられていることを知っていますか?
なぜ春だけなのかは、恐らく主催者である毎日新聞社の意向でしょう。
21世紀になって初めての大会となった、2001年(平成13年)の第73回大会から新設された枠です。新たな世紀を迎え、新しい事を始めよう、ってことでスタートしました。21世紀枠の意義は、
ってことです。ちなみに、「清新の気風」って何だかよく分からなかったので、調べてみました。
ってことみたいです。何だかアバウトですね。ってことで、より具体的な選考基準も調べてみました。↓
<21世紀枠の選考基準>
- 原則として、秋季都道府県大会ベスト8以上(参加128校以上の都道府県はベスト16以上)の成績を残していること
- 「他校の模範になる」「困難条件の克服」「予選で良い成績を残しているがなかなか甲子園に出場できない」
- 甲子園出場経験が無いか、もしくは出場からより遠ざかっている
(毎日新聞社『21世紀枠の選考基準とは』より抜粋)
こうした条件を基準に、各都道府県連盟の推薦で1校が決定。次に各地区の推薦校が1校ずつ選出され、その中から最終的に1校が決められます。
<21世紀枠出場校で優勝校は?>
ちなみに、2017年までに47校が、21世紀枠で出場していますが、優勝校は・・・、残念ながらありませんでした。
最高で、準決勝敗退が2校ですね。
それでも素晴らしいですよね!秋の地区大会で優勝していないわけですからね。
夏は自力本願
一方夏の甲子園は、先にも書きましたが「選手権大会」ですよね。つまり最も強いチームを決めるってことで、言わば実力次第なんです。
よって、各都道府県で予選大会を行い、その優勝校が甲子園に一堂に会して闘うわけです。とってもシンプルで分かり易いですよね!
ちなみに都道府県大会で、出場校が多い東京都と北海道は、それぞれ東西と南北で1校ずつが選ばれます。従って甲子園出場校は最終的に49代表になります。
さて、次は組み合わせを決める抽選会の仕組が、夏と春でどのように違うのかについて触れていきましょう。
【5】組み合わせ抽選の違い
夏・・・最初に3回戦までの組み合わせを決定し、準々決勝4試合と準決勝2試合はその都度決定
春のセンバツは最初の抽選で全てが決まり、決勝まで完全トーナメント方式なんですね。出場校決定方法が予選による勝ち上がり方式ではないので、甲子園大会では完全勝ち上がり方式になっているのでしょうか。
一方、夏の甲子園は出場校も多いので、3回戦までは通常のトーナメント戦で、準々決勝と準決勝はその都度対戦相手を決めるというやり方になっています。
ところで、甲子園の高校野球と言えば、「春夏連覇」や「夏春連覇」が毎回話題になりますよね!
そこで次の章では、過去の連覇校についてやその他の春夏に関する情報をまとめてみました。
甲子園春夏のおまけ情報
「春夏」「夏春」連覇の偉業を達成した高校は?
春夏連覇達成校
先ずは「春夏連覇」の方から紹介します。
年 | 高校名 |
---|---|
1962年 | 作新学院高校(栃木県) |
1966年 | 中京商業高校(愛知県 現中京大中京校) |
1979年 | 箕島高校(和歌山県) |
1987年 | PL学園高校(大阪府) |
1998年 | 横浜高校(神奈川県) |
2010年 | 興南高校(沖縄県) |
2012年 | 大阪桐蔭高校(大阪府) |
これを地図で見てみましょう。するとこうなります↓
地図で見ると分かりますが、目立つのはやはり大阪から2校輩出していることと、甲子園球場に近い所に多い印象を持ちますね。
春に2年生中心のチーム編成になり、そのまま夏も同じチーム編成、ということで春夏連覇は夏春連覇と比べると、達成し易いと言われています。
夏春連覇達成校
次に「夏春連覇」です。
年(夏/春) | 高校名 |
---|---|
1930年/1931年 | 広島商業高校(広島県) |
1937年/1938年 | 中京商業高校(愛知県) |
1960年/1961年 | 法政二高(神奈川県) |
1982年/1983年 | 池田高校(徳島県) |
ここも地図に表わしてみました。
夏で優勝しても、3年生が抜けて、チーム編成が変わる春にまた優勝するのはかなり難しいことと思いますね。やはり春夏連覇校よりも数は減っています。
しかし4校もあるとは驚きです!そして、地理的には、春夏連覇よりも、甲子園球場から離れた高校が達成している印象を受けますよね。
春夏連覇達成高と夏春連覇達成校を見てきましたが、特筆すべきは中京商業高校が両方とも達成していることですね。何か特徴的な校風でもあるのでしょうか。また別の機会に調べてみたいと思います。w
次に、連覇達成校の中で、公立の学校はあるのかを調べてみましたので御覧下さい。
連覇校で公立高校は?
- 和歌山県立箕島高等学校
- 広島県立広島商業高等学校
- 徳島県立池田高等学校
私も公立の進学校でしたが、やはり設備も練習時間もない、私立に比べて決して恵まれた環境とは言えない、そんなイメージの有る公立高校で、3校も連覇を達成していたなんて、びっくりしました。
個人甲子園春夏通算本塁打記録は?
これは断トツで、PL学園から西武・巨人で活躍した清原選手の記録で13本(春4本、夏9本)です。栄光の記録はやはり高校球児のあこがれであり、目標ですよね。
チーム春夏通算最多連勝記録は?
これは、調べてみてびっくりしました!なんとPL学園が20連勝していました。その記録を表にしてみました。
大会 | 試 合 | 対戦校 | スコア | 勝敗 |
---|---|---|---|---|
春53回 | 1回戦 | 岡山理大付(岡山) | 5-0 | ○ |
2回戦 | 東海大工(静岡) | 1-0 | ○ | |
準々決勝 | 日立工(茨城) | 8-2 | ○ | |
準決勝 | 倉吉北(鳥取) | 4-0 | ○ | |
決 勝 | 印 旛(千葉) | 2-1 | ○ | |
春54回 | 1回戦 | 東 北(宮城) | 4-1 | ○ |
2回戦 | 浜 田(島根) | 2-1 | ○ | |
準々決勝 | 箕 島(和歌山) | 1-0 | ○ | |
準決勝 | 横浜商(神奈川) | 3-2 | ○ | |
決 勝 | 二松学舎大付(東京) | 15-2 | ○ | |
夏65回 | 1回戦 | 所沢商(埼玉) | 6-2 | ○ |
2回戦 | 中津工(大分) | 7-0 | ○ | |
3回戦 | 東海大一(静岡) | 6-2 | ○ | |
準々決勝 | 高知商(高知) | 10-9 | ○ | |
準決勝 | 池 田(徳島) | 7-0 | ○ | |
決 勝 | 横浜商(神奈川) | 3-0 | ○ | |
春56回 | 1回戦 | 砂川北(北海道) | 18-7 | ○ |
2回戦 | 京都西(京都) | 10-1 | ○ | |
準々決勝 | 拓大紅陵(千葉) | 6-0 | ○ | |
準決勝 | 都 城(宮崎) | 1-0 | ○ | |
決 勝 | 岩 倉(東京) | 0-1 | ● |
確認しておきますが、甲子園で闘った試合を20回勝ち続けたってことですからねぇ、信じられないです。
では最後に今回の内容をおさらいしてみますね。
まとめ
いかがでしたか。今回は夏の甲子園と春の甲子園の違いについて色々とみてきました。主な内容をまとめると次の様になります。
- 夏の甲子園の主催者は朝日新聞社で春の甲子園の主催者は毎日新聞社。
- 出場校決定方法の違い
夏は完全勝ち抜きの予選大会優勝チーム。春は選考委員会が選ぶ。 - 組み合わせ抽選は、夏は最初と準々決勝・準決勝の3回。一方春は最初だけ。
- 春夏連覇校と夏春連覇校は全部で10校。うち、中京商業高校が両方達成している。
- PL学園は甲子園で春夏通算20連勝していた。
同じ高校野球でも、春と夏でこんなに違いがあるとは驚きでしたね。他にもまだまだ沢山あると思います。知っている方は是非一報ください。
今回は以上となります。最後まで御覧頂き有難う御座いました。