「十八番ってどういう意味?由来は?」
こんにちは、語源や由来を調べることがとっても大好きなIsajiです♪
今回気になったのは「十八番(おはこ)」です。そもそも十八番と書いてなんでおはこと読むのでしょうか?パソコンでも、「おはこ」と入れて変換キーを押すと「十八番」って出てきますからねぇ。
そこで今回はとっても気になっていた「十八番」について、その意味や由来をきっちりと調べてみましたのでじっくりと解説していきますね!なお、合わせて、十八番に関係するおもしろ情報もいくつかお伝えしますので、ぜひご覧くだいねぇ~。
では、最初に十八番の意味から見ていきますね。
この記事でわかること
「十八番」の意味や由来は?
先ずは、「十八番」の意味から書いていきたいと思います。
「十八番」の意味って?
もっとも得意な芸や技のこと
簡単に言うと得意芸ってことですが、カラオカでよく使われますよね!ではなぜ、「十八番」と書いて「おはこ」と読むのかやその由来について今度は見ていきましょう。
「十八番」の由来は諸説あり?
「十八番(おはこ)」の由来にはいくつか有ります。代表的なものは次の3つのようです。
- 弥陀の四十八願(しじゅうはちがん)由来説
- 武芸十八般由来説
- 歌舞伎十八番由来説
ではそれぞれ順番に見ていきますね。
【1】弥陀の四十八願由来説
阿弥陀様が仏になる為の修行中に、四十八の誓い(四十八願)を立てられたんです。
そして、その中の十八番目が「念仏をとなえる人達全てを必ず救済する」というもので、これが他の仏の立てた誓いよりも優れていることから、「十八番」が得意なものの意味で使われるようになりました。
【2】武芸十八般由来説
武士がたしなむべき武芸の種類が全部で18種類あることからきています。この説は、「得意芸」と言われる一芸だけではなく「多才」という意味も表すようですね。
【3】歌舞伎十八番由来説
江戸歌舞伎の七代目市川団十郎が、初代・二代目・四代目の各団十郎が得意としていた演目18種を、1832年(天保3年)に選定し、家の芸としました。そしてこれを「歌舞伎十八番」と呼んだことに由来するとする説があります。
個人的にはこの説が一番好きですね。庶民の娯楽から出た言葉は広まりやすい気がしますね。
「十八番」と書いてなぜ「おはこ」と読むの?
「おはこ」と読むのは、市川家秘蔵のお家芸として、台本を箱に入れて保管し、代々受け継がれてきたことから、とされています。
箱に仕舞ってまで大切にしてきた、「歌舞伎十八番」ってどんな演目なのか、気になってしまったので、調べてみました。
歌舞伎十八番の演目とは?
では、ここで折角ですので、「歌舞伎十八番」を具体的に見てみましょう。
- 外郎売(ういろううり)
- 嫐(うわなり)
- 押戻(おしもどし)
- 景清(かげきよ)
- 鎌髭(かまひげ)
- 関羽(かんう)
- 勧進帳(かんじんちょう)
- 解脱(げだつ)
- 毛抜(けぬき)
- 暫(しばらく)
- 蛇柳(じゃやなぎ)
- 助六(すけろく)
- 象引(ぞうひき)
- 七つ面(ななつめん)
- 鳴神(なるかみ)
- 不動(ふどう)
- 不破(ふわ)
- 矢の根(やのね)
ちなみに、この中の12番に「助六」ってありますよね。助六寿司は「助六」の演目の登場人物に由来するそうです。
そこで、次は歌舞伎に由来するその他の言葉たちをいくつか紹介していきましょう。
それって、歌舞伎が由来の言葉だったの!?
.
本章では以下の5つについて触れていきます。
- 差し金
- 二枚目・三枚目
- 芝居
- 幕の内弁当
- どんでん返し
差し金
黒塗りの棒の先に針金をつけ、蝶や鳥などを、ひらひらとしなるように操るための小道具を「差し金」と言っていました。この小道具が、陰で舞台を操る意味が由来とされています。
陰から人をそそのかし操ること。
<使い方>
「こんなことをするのはアイツの差し金に違いない!」
二枚目・三枚目
芝居小屋の前に掲げられる、役者の名前を書いた看板の二枚目と三枚目から
芝居興行の際、動画にもあるように、芝居小屋の前には出演する役者の名前を書いた看板が出されます。その二枚目には美男の役、三枚目には道化役(観客を笑わせる役)の名前が書かれていることが由来です。
「枚」って何のこと?って思っていました。これで謎が解けました。
ところで上に出て来た「芝居」。これも、歌舞伎が由来なんですよ!ってことで次は芝居の由来を見てみましょう。
芝居
見物席の意味→劇場全体を指す言葉→演劇自体を指す言葉→役者の演技そのものの意味
室町時代には、芸能事は神社の芝生の生えている所(=特に神聖な場所)にお客さんを集めて行われていました。そのため、お客さんの見物席を「芝居」と呼んでいたのです。
その後、江戸時代に歌舞伎が流行り、劇場全体を芝居と呼ぶようになったのだそうです。そしてさらに、歌舞伎の演劇自体を呼ぶ言葉になり、やがては役者の演技のことを指す言葉になっていきました。
これには「なるほど~!」って思いました。なんで「芝生に居る」と書いて役者の演技のことを言うのだろう?ってずっと不思議だったんですよ。
最初は本当に「芝生に居る」ことを意味していたんですね。
幕の内弁当
幕の内・・・1つの芝居が終わってから次の芝居が始まるまでの休憩時間。幕間(まくあい)とも言う。
つまり、「幕の内弁当」って、幕と幕の間に食べられていたお弁当のことだったんですね。意味が分からずに使ってましたが、調べてみると全くそのまんまの意味でした。
既に江戸時代には定着していた言葉なんです。当時の幕の内弁当の定番メニューは、
- 俵型のおにぎりとおかず
- 煮物、焼魚や玉子焼き、練物など
だったようですよ。
どんでん返し
舞台装置の一つ
もともとは歌舞伎の舞台で、場面を一気に変える時に使われていた装置のことだったって、知ってました?私は、慣用句的なものと思っていました。舞台装置の呼び方だったとは意外でした。
大道具を90度後ろに倒すことで、それまで底面にあったものを表に持って来ることで、一瞬で場面転換する演出だったようですよ。
ほとんどが、演目の最後の方で使われていたことから、ものごとが最後になってひっくり返ることを言うようになりました。
ところで、特技や得意技という意味で使われる「十八番」ですが、これに似た言葉って何があるのか気になりませんか?
そこで次に十八番の類義語についていくつか見ていきましょう。
「十八番」の類義語アレコレ集
十八番と同じような意味で使われる言葉をいくつか集めてみました。
- お株
- お手の物
- お家芸
- 専売特許
- 特技
これらの言葉も十八番と仲間言葉ですね。「お家芸」はオリンピックやスポーツの国際大会の中継を観ていると結構使われていますよ。柔道や野球等で使われることが多い気がします。
十八番の類義語を見てきたところで、今度はこれを英語で言うとどうなるのか、ここも合わせて知っておきましょう。海外からの観光客に歌舞伎を説明する時に使えますからね。^^/
「十八番」って英語で何て言うの?
hobbyhorse
調べてみると、いくつかあることが分かりましたが、個人的には「hobbyhorse」が一番しっくりきました。
直訳すると「木馬」という意味です。ただのhobby(趣味)ではなく木馬ってとこがミソでしょうか。
例文を紹介しますね。
Here goes (comes) his hobbyhorse!:でた、十八番のやつ出してきたよ!
ここでは“十八番=hobbyhorse”と訳してみました。他のニュアンスはHere we go again!とあまり変わらないので、さらにうんざりした感じで言ってみましょう。
(引用元;DMM英会話 )
英語でも、うんざりした感じでいう言葉が有るんですね!意外でした。
では、最後に今回のおさらいです。
まとめ
十八番の意味や由来を知る旅はいかがでしたか?思わぬ発見がいくつかあったと思います。
- 「十八番」は「得意技」という意味
- 「十八番」は「歌舞伎十八番」が由来
- その他の歌舞伎由来の言葉には「差し金、二枚目・三枚目、芝居、幕の内弁当、どんでん返し」等がある
「おはこ」っていうと何だか「また出ました、おはこ~」みたいに、あまり歓迎されない時に使われるイメージですが、始まりは由緒ある江戸歌舞伎だったんですね。
今回は以上となります。最後まで御覧頂き有難う御座いました。