こんにちは、Isajiです。
先日、ネットでニュースを検索していると「杮落し」という言葉を発見。「ん?かき落とし?」何のこと?と、ニュースを開くと劇場の「こけら落とし」のニュース。
そういえば、「こけら落とし」ってよく聞くけどどうして「こけら」なのかわからない。漢字で書いても「柿(かき)」と同じように見えてしまう。
日頃はなんとも思わずにスルーしてしまう言葉ですが、今回は妙に気になって仕方がなかったんですね。
そこで今回は「杮(こけら)落とし」について深く調べてみました。また、合わせて過去のもっとも有名なこけら落とし公演についてもご紹介します。
では、先ずはこけら落としの意味から確認していきましょう。
この記事でわかること
こけら落としの意味や使い方を知ろう
こけら落としの意味は?
「こけら」とは、
- 新築や改築をした時にでる「木くず」
のことです。
「こけら落とし」という言葉を聞いて、漠然と「新しい劇場のお披露目の舞台」を思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。
その覚え方は間違いではありませんよ。建物が完成したら木くずを全部払いのけるので、新しい建物の使いはじめの行事を「こけら落とし」と言うそうです。
ちなみに、こけら落としを漢字で書くと「杮落とし」。柿(かき)と似ていますが、まったく違う漢字です。
「杮(こけら)」とは木片のことで、右側のつくりは「木部四角(縦棒はつながっています)」なので、柿(かき)のつくり「木部五角」とは違うんです。
違いがわかりますか?柿(かき)は右側が市(いち)ですね。
では、なぜ新築の劇場のお披露目公演に「こけら落とし」という言葉を使うのか?
これには日本の伝統技術である「こけら葺(ぶき)」が関係していると言われています。こけら葺とは伝統的な屋根技法で、古くは飛鳥時代から使われていた技法なんですね。
江戸時代の歌舞伎場の屋根もこのこけら葺という技法で作られていて、完成した時に木くずを屋根から払い落してお披露目をしたことから、劇場などでの新築お披露目公演に「こけら落とし」という言葉を使うようになったようですよ。
歌舞伎座のこけら落とし公演のチラシに「杮葺落(こけらおとし)」とあるのは、こういう意味だったんですね。
また、歌舞伎からは「二枚目」「三枚目」「十八番(おはこ)」などと言う言葉も生まれており、「こけら落とし」も歌舞伎場に関連している言葉なので、「こけら落とし」と聞くと歌舞伎を思い浮かべることが多いと思います。
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つぎに、こけら落としの具体的な使い方について確認しておきましょう。
こけら落としの使い方を知ろう!
こけら落としとは一般的には、
- 「こけら落とし公演」や「この球場のこけら落としは ○○対□□の試合です」
といった感じで使われています。
厳密に言うと劇場などの「屋根がある建物」のお披露目に使われます。語源を考えると当然ですね。屋根の切り屑を払いのける事が語源ですから。
でも昨今は球場などの屋根のない施設でも使われていますよね。
球場には屋根はないけど、新しい球場のお披露目という意味で「こけら落とし」と使っているみたいですよ。
屋根付きのドーム球場であれば、言葉の使い方としてはしっくりきますね。
ところで、こけら落としって日本語独特の言い回しで、そのまま直訳しても外国人には通じませんよね。
ってことでつぎに、こけら落としって英語ではどう表現すれば良いのかを調べてみました。
こけら落としを英語で書くと?
こけら落としを英語で書くと、
- Opening of a new theater
となります。
直訳すると「新しい劇場の開場」という意味でしょうか。日本語の語源をきちんと踏まえていて、日本語の語源を知っていれば覚えやすいですね。
有名な例文を紹介すると
「この劇場のこけら落とし公演は「オペラ座の怪人」である」
オペラ座の怪人かぁ、昔お付き合いのあった方と行ったのを思い出してしまいました。なつかしいなぁ。(^^)
まぁそれは置いといて、こけら落としって聞いて真っ先に頭に思い浮かぶ公演ってなんでしょう?
そこでつぎに過去のもっとも有名なこけら落とし公演について、サクサクっとご紹介して、今回の記事を締めたいと思います。
過去の有名なこけら落とし公演って?
これまででもっとも有名なこけら落とし公演と言えば、
- 東京ドームこけら落とし公演 美空ひばり「不死鳥コンサート」1988年4月
ではないでしょうか。
若い方はあまりご存知ではないかも知れませんが、戦後の日本のシンボルとも言われた「永遠の歌姫 美空ひばり」。
彼女は戦後日本の復興とともに様々な名曲を世に送り続けました。
美空ひばりを知らない若い世代も「川の流れのように」を聞けばピンとくる方も多いのではないでしょうか。
1985年に体調を崩し、重度の肝硬変と大腿骨頭壊死という大病を患い入院。
退院後も体調はすぐれず、1988年の東京ドームこけら落とし公演の開演は難しいと思われていた。
しかし、まさしく「不死鳥のごとく」よみがえり、実に39曲もの歌を歌いあげ、公演を大成功させる。
翌年2月の小倉公園まで、10箇所の公演やテレビ出演を務め、1989年6月に52歳でその生涯を終える。
東京ドームの歴史はひばりさんのプロ根性と魂の熱唱からはじまっていたんですね。
そんなところでプレーできるプロ野球選手は幸せだと思います。
つづいてその他の有名なこけら落とし公演を確認しておきましょう。
こけら落とし公演と言えばやはり歌舞伎座を思い浮かべますよね。
一番最近では2013年にこけら落とし公演が行なわれており、4月の「葺落四月大歌舞伎」は、天皇皇后両陛下もご観劇になられました。
歌舞伎では「こけら落とし公演を見ると寿命が延びる」と言われるほどたいへん縁起が良いものとなっています。
なぜ「寿命が延びる」って言われるのかがすっごく気になったので色々と調べまくったのですが、残念ながら確認できませんでした・・・。
歌舞伎座は1889年の開設から現代まで、実に5回の改装を行なっています。
歌舞伎座では建物の改装が終わると、歌舞伎界でも有名な役者が勢ぞろいして1年間を通してこけら落とし公演を行うそうですよ!。
では最後に今回の記事をまとめてみましょう。
まとめ
柿(かき)と杮(こけら)似て非なる漢字です。杮(こけら)が木片だと覚えておくと、こけら落としの意味もすんなり覚える事ができますね。
- 「こけら」とは、新築や改築をした時にでる「木くず」のこと。
- 「こけら」と「かき」の漢字は似て非なるものだった。
- よくある使い方は「こけら落とし公演」や「この球場のこけら落としは ○○対□□の試合です」など。
- こけら落としは英語で「Opening of a new theater」と表現する。
- もっとも有名なこけら落とし公演は、美空ひばりの「不死鳥コンサート」
歌舞伎座のこけら落とし公演を見ると寿命が延びるそうで、機会があれば一度は観に行ってみたいものです。
今回は以上となります。最後までご覧いただき、ありがとうございました。